
一年忌姪の遺品の靴二足携え戻る共に歩めと
墓の前揃いてお経誦(ず)しおれば
秋虫すだく答えるごとく
一年忌傍らに立ち墓守る
山茶花装う白き花々
小春日の空どこまでも澄み渡り
温(ぬく)きそよ風薄(すすき)を揺する
山際は茜に染まり金星(ほし)光る
谷間の家々未だ灯(とも)らず
杉木立樹間に月の差しい出て
土佐の田舎屋夜が更けゆく
幼き日見慣れし山々夜更けて
黒衣纏(まと)えば今も恐ろし
昨年秋五五歳で他界した姪の一年忌が高知で行われた。
二〇代後半に腎臓病にかかり、養生しつつ中学教師を務めていたが、
結婚、妊娠、流産で病状が悪化。
母親(我が姉)の腎臓を移植し一時は好転していたが、五年ほどで悪化、
一日おきの透析生活を続けていた。
三年ほど前からは病院の近くに転居し、一人暮らしだった。
朝、透析のための迎えの車が行っても応答が無く、連絡を受けた母親が駆けつけ、
鍵を開けて入った時にはすでに息絶えていたという。
前々日には両親の家に行き一泊。
前日の夕食を一緒に食べて元気に帰宅したと言うから、全く突然の死だった。
しばらくは悲嘆のどん底にいた母親も、最近は平常心を取り戻した。
葬式の日は冷たい秋雨が降っていたが、一年忌の日は小春日和。
彼女が好きだったという山茶花は白い花を咲かせ、墓の周りの薄の穂が輝いていた。
姉の家は、私が戦争中疎開していた村にある。
久しぶりに落ち着いて過ごした夜の風景は悠久。改めて人の命のはかなさに思いを馳せた。
姪の部屋の本棚にあったのを、形見分けにともらってきたすうまいのCD。
その中の一枚、二胡の調べを聞きながら、今キーを打っている。
(次項霜月挽歌へ)
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